岡本吉起の現在は?借金17億円から年収12億円へ復活した「モンスト」の奇跡

人物

ゲーム業界には「天才」と呼ばれる人間が何人か存在するが、天国と地獄の両方を極端なスケールで味わった人物といえば、**岡本吉起(おかもと よしき)**氏をおいて他にいないだろう。

かつて『ストリートファイターII』で格闘ゲームブームを巻き起こし、独立後に17億円もの借金を背負い、そこから『モンスターストライク』で奇跡の復活を遂げた。現在はマレーシアで悠々自適な生活を送る彼の人生は、まるで彼が作るゲームのようにドラマチックだ。

本記事では、岡本吉起氏の経歴をスペック表と共に振り返りながら、なぜ彼がどん底から這い上がることができたのか、その逆転劇の裏側を専門用語の解説を交えて紐解いていく。

岡本吉起とは何者か?基本スペックと経歴

まずは、彼がどのような人物なのか、客観的なデータに基づいて整理する。ゲームファンでなくとも、彼が関わったタイトルの名前は一度は耳にしたことがあるはずだ。

プロフィール・スペック表

項目詳細
氏名岡本 吉起(おかもと よしき)
生年月日1961年(昭和36年)生まれ
出身地愛媛県
主な元所属コナミ、カプコン、ゲームリパブリック
代表作(関与)『ストリートファイターII』『バイオハザード』『モンスターストライク』『源平討魔伝』など
最高借金額約17億円(ゲームリパブリック倒産時などに関連)
現在の推定年収約12億円(YouTube発言等による)
現在の居住地マレーシア(ジョホールバル)
YouTube岡本吉起 ゲームch(登録者数 規模拡大中)

ゲーム業界の「ヒットメーカー」としての顔

岡本氏の凄さは、アーケードゲーム(ゲームセンターのゲーム)、家庭用ゲーム機、そしてスマートフォンアプリという、3つの異なる時代とプラットフォームですべてホームランを打っている点にある。

1990年代、カプコン在籍時に開発を統括した『ストリートファイターII』は、対戦格闘ゲームというジャンルを確立した。続く『バイオハザード』ではサバイバルホラーというジャンルを定着させた。普通のクリエイターなら、これだけで一生食っていける名声だが、彼の人生はここで終わらない。

独立後に設立した会社「ゲームリパブリック」では、大規模なゲーム開発に挑むも経営難に陥り、莫大な借金を背負うことになる。しかし、そこからスマホゲーム『モンスターストライク(モンスト)』の開発に参加し、日本国内のモバイルゲーム史を塗り替えるヒットを飛ばしたのだ。

17億円の借金地獄と「リーマンショック」の不運

なぜ、数々のヒット作を持つ彼が17億円もの借金を背負うことになったのか。そこには、ゲーム開発というビジネスの難しさと、世界的な不況が大きく関わっている。

独立と拡大路線の裏目

カプコンを退社し、2003年に設立した「ゲームリパブリック」は当初、順調に見えた。プレイステーション3やXbox 360といった当時の次世代機向けに『GENJI』などの大型タイトルを開発していたからだ。

ゲーム開発は、社員を雇い、機材を揃え、数年かけて一つの作品を作るため、先行投資が莫大になる。岡本氏は会社を急拡大させたが、ここで「リーマンショック」が世界を襲う。

【用語解説】リーマンショック 2008年にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻したことをきっかけに起きた、世界規模の金融危機。これにより企業の資金繰りが急速に悪化し、多くのプロジェクトが中止・凍結された。

景気の悪化により、受託していたゲーム開発案件が立ち消えになったり、資金調達が困難になったりした結果、会社は立ち行かなくなる。最終的に岡本氏は、連帯保証人として巨額の負債を個人的に背負うことになった。住んでいたタワーマンションを追い出され、友人の家を転々とする日々。「昨日の成功者」が「今日のホームレス寸前」になる、まさにジェットコースターのような転落だった。

復活の鍵となった「レベニューシェア」という選択

17億円。普通なら自己破産を選んでもおかしくない金額だ。しかし、岡本氏は諦めなかった。ここで彼が選んだ起死回生の一手が、『モンスターストライク』への参加と、その契約形態だった。

受託開発ではなく「運命共同体」を選ぶ

当時、ミクシィ(現MIXI)で開発されていた『モンスターストライク』。岡本氏は開発アドバイザーのような立ち位置で関わることになるが、ここで彼は固定の「制作費(ギャラ)」をもらうのではなく、「レベニューシェア」という契約を選んだと言われている。

【用語解説】レベニューシェア(レベシャ) 成果報酬型契約の一種。制作費を安く(あるいはゼロに)抑える代わりに、そのサービスや商品が売れた場合、売上の数%〜数十%を継続的に受け取る仕組み。

  • メリット: ヒットすれば青天井で稼げる。
  • デメリット: 売れなければ報酬はほぼゼロ。リスクが高い。

当時の岡本氏は借金まみれであり、確実な現金が欲しかったはずだ。しかし、彼は「このゲームは絶対に当たる」というクリエイターとしての勘、あるいは勝負師としての直感に従い、リスクを取ってレベニューシェアを選んだ。

結果は周知の通りである。『モンスト』は国民的ゲームとなり、莫大な収益を生み出し続けている。その一部が継続的に入ってくることで、彼は借金を完済し、さらに年収12億円という驚異的な資産を築くに至ったのだ。

「自分のゲームに8000万円課金」に見る哲学

復活した岡本氏は現在、マレーシアのジョホールバルに移住し、豪邸での生活をYouTubeなどで発信している。その中で度々話題になるのが、**「自分の関わったゲーム(モンスト等)に、1アカウントで8000万円以上課金した」**というエピソードだ。

なぜ大金を投じるのか?

一般市民からすれば「狂気」とも取れる行動だが、ここには彼なりの流儀が見え隠れする。

  1. ユーザー目線の徹底 作り手が「運営者視点」だけでゲームを見てはいけない。最強のユーザーとして遊び尽くすことで、課金ユーザーの気持ちや、ゲームバランスの不備を肌感覚で理解している。
  2. 業界への還元 「ゲームで稼いだ金は、ゲームに使って還元する」という美学。
  3. 成功者の余裕とパフォーマンス これだけ使っても痛くないという成功の証を見せることで、夢のある職業であることを若手に示している側面もあるだろう。

単なる浪費ではなく、これもまた「投資」であり「研究」であると捉えられるのが、岡本吉起という人物の特異性である。

岡本吉起氏に対する世間の評価・レビューまとめ

彼に対する評価は、ネット上や業界内でも賛否が分かれることがある。客観的な意見をポジティブ・ネガティブ両面から整理してみる。

ポジティブな評価(肯定的意見)

  • 「本物の天才」:アーケードからスマホまで、時代が変わっても「面白い遊び」の本質を見抜く力は随一とされる。特に『モンスト』の「引っ張って弾く」という操作感をマルチプレイに落とし込んだ手腕は高く評価されている。
  • 「不屈の精神」:借金17億から逃げずに復活したメンタリティは、多くの起業家やビジネスマンに勇気を与えている。
  • 「話が面白い」:YouTubeでの語り口が軽妙で、過去の失敗談すらエンタメにしてしまうトーク力がある。

ネガティブな評価(懐疑的意見・批判)

  • 「ビッグマウス」:発言が過激で自信満々なため、反感を買うことがある。「ゲームリパブリック時代の倒産で迷惑を被った人もいるのでは?」という厳しい指摘も過去には存在した。
  • 「過去の栄光?」:モンスト以降の目立ったヒット作がまだ見えていないため、「モンストの一発逆転だけでは?」と見る向きも一部にはある(ただし、その一発が巨大すぎるのだが)。

総じて、**「人間性はアクが強いが、クリエイターとしての実績と勝負強さは認めざるを得ない」**というのが、大方の見方であるようだ。

まとめ:失敗を恐れない「鈍感力」と「直感」

岡本吉起氏の人生から学べることは多い。 彼は17億円の借金を背負った時、普通なら絶望して動けなくなるところを、「なんとかなる」「面白いものを作れば返せる」という異常なまでのポジティブさ(ある種の鈍感力)で乗り切った。

また、目先の安定した給料よりも、自分の才能と作品の可能性を信じて「レベニューシェア」を選んだ決断力。これは、現代のビジネスパーソンにとっても、リスクテイクの重要性を教える教科書のような事例である。

現在はマレーシアで悠々自適に暮らす彼だが、その眼はまだ「次のヒット」を探しているように見える。彼のゲーム人生は、まだエンドロールを迎えていないのだ。

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