「REAL INFLUENCER」の光と影|鹿乃つのが指摘する番組の構造的欠陥とは?

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YouTube界で注目を集める番組「REAL INFLUENCER(リアル・インフルエンサー)」をご存知だろうか。人気クリエイターのVAMBI氏が手がけるこの番組は、インフルエンサーとして成功を夢見る志願者が、百戦錬磨の審査員たちに挑むリアリティショーである。しかし、その放送内容や企画の方向性を巡り、出演者や視聴者からは厳しい意見も飛び交っている。

本記事では、番組の基本情報から、各エピソードの反応、そして出演者の一人である鹿乃つの氏が指摘した「番組の構造的課題」について深く掘り下げていく。

番組の基本スペックと概要

まずは、番組がどのような構成で成り立っているのか、その基本的なスペックを確認しておこう。

項目内容
番組名REAL INFLUENCER (リアル・インフルエンサー)
主宰・MCVAMBI (ヴァンビ)
主な審査員(マフィア)ラファエル、飯田、青木 など
スポンサーREAL VALUE
主な特典知名度の向上、マフィアからのアドバイス、HERO’ZZ入学権
配信プラットフォームYouTube
コンセプト「本物のインフルエンサー」を見極め、育成する

この番組は、いわば「令和の虎」のインフルエンサー版とも言える形式をとっている。志願者が自らの活動内容や目標をプレゼンし、それに対して「マフィア」と呼ばれる審査員たちが容赦ない批判や助言を行う。

専門用語の解説:マフィアとは?

ここでいう**「マフィア」**とは、犯罪組織のことではない。番組内では、すでにインフルエンサーとして、あるいはビジネスの世界で圧倒的な実績(数字)を持っている「強者」たちのことを指す。彼らは、厳しい視点で志願者の素質をジャッジする役割を担っている。

鹿乃つのが指摘する「番組趣旨の不明瞭さ」

VTuberの鹿乃つの氏は、自身の出演回やその後の放送を振り返り、番組が抱える根本的な矛盾を指摘している。その核心は「誰が、何のために、誰を評価するのか」というルールが定まっていない点にある。

初回「あやなん回」の矛盾

番組の初回には、すでに絶大な知名度を持つあやなん氏が登場した。ここで生じた疑問が、「すでに数字(登録者数や再生数)を持っている人を、誰が、何の目的でジャッジするのか」という点だ。

インフルエンサーの世界において、**「数字」**とは実績そのものである。すでに成功している人間に対し、アドバイスを送る側の立場が不明確であったことが、番組のスタートダッシュにおける混乱を招いたと言えるだろう。

専門用語の解説:オワコンとデスドル

番組内の議論で頻出した言葉に**「オワコン」「デスドル」**がある。

  • オワコン:「終わったコンテンツ」の略。かつては人気があったが、現在は勢いを失ったものを指す。
  • デスドル:倫理観や品位を欠いた行動で注目(炎上)を集めるアイドルやタレントを指す造語。 これらの言葉が飛び交う中、番組は「インフルエンサーとしての教育」よりも「晒し者にする」ような側面が強まってしまったという解釈も存在する。

エピソード別レビューと実態のまとめ

番組の各回を振り返ると、視聴者の反応や出演者の不満が浮き彫りになってくる。ここでは主要な回の動向をまとめる。

あやなん・飯田回:趣旨の混迷

すでに社会的な影響力を持つ人物同士が対峙した結果、番組の「育成」や「発掘」というコンセプトが霧散した。視聴者からは「何を見せられているのか分からない」という声が多く上がった。

田村シュンス回:地獄の30分

鹿乃つの氏が「おもんない(面白くない)」と断言したのが、田村シュンス氏の出演回だ。この回では、スキルや実績が乏しい初心者である志願者がマフィアに徹底的に叩かれる様子が放送された。

  • 事実としての経過
    • 志願者が動画素材を用意してこなかったことを追及される。
    • VAMBI氏がその不手際を攻め立てる。
    • 志願者が反抗し、場が凍りつく。
    • 最終的にアドバイスというよりも「呆れ」の空気が漂う中で終了。

この回について、鹿乃氏は「VAMBI氏が出演者の良さを引き出すどころか、全てを潰してしまった」と分析している。特に、MC側が自身の非(動画準備の不備など)を笑いに変える余裕がなく、ただ「刺す(攻撃する)」ことだけに終始したため、エンターテインメントとしての昇華に失敗したという解釈だ。

専門用語の解説:撮れ高

テレビや動画制作で使われる**「撮れ高(とれだか)」**とは、放送や動画として使える「面白いシーン」がどれだけ撮れたかという指標だ。鹿乃氏の指摘によれば、番組側は「強い言葉で相手を攻撃すること」を撮れ高だと勘違いしており、その結果、中身のない「地獄のような時間」が生み出されている。

VAMBI氏のディレクションへの疑問

番組の主宰であるVAMBI氏に対し、鹿乃氏は非常に厳しい評価を下している。そこには、単なる好き嫌いを超えた「クリエイターとしての技量」への問いかけがある。

「おもんない」という評価の背景

鹿乃氏は、VAMBI氏のアドバイスや番組内での立ち振る舞いについて「Funny(滑稽)」でも「Interesting(興味深い)」でもないと断じている。

  • パワハラタイムの表面的な模倣 他の人気番組(例えば『マネーの虎』など)では、審査員が激昂する場面がある。しかし、それは相手の本気度を引き出すため、あるいは真剣にビジネスを考えているからこそのパフォーマンスである。鹿乃氏は、VAMBI氏の振る舞いが「それっぽくキレているだけ」の表面的な模倣に見えると指摘している。
  • プレゼンターを活かせない構成 番組を面白くするためには、志願者の背景や野心をうまく引き出し、物語(ストーリー)を作る必要がある。しかし、田村シュンス氏の回に代表されるように、出演者の良さを殺してしまうディレクションが行われている事実は否めない。

専門用語の解説:大衆心理を操る

VAMBI氏は「大衆心理を操れるかどうかがREALになれるかの差」と語っている。しかし、すでにそのスキルを持っている人しか合格できないのであれば、この番組は「原石を見つける場所」ではなく、「すでに光っている人を再確認する場所」になってしまう。これは、番組の「卵を育てる」という建前を殺しているという解釈が成立する。

鹿乃つのが示した「企画の再解釈」

番組が迷走する中で、唯一「成立」していたと自負するのが鹿乃つの氏自身の出演回である。彼女は、番組側の用意した不十分な企画書をそのまま受け取るのではなく、自分なりに**「企画の再解釈」**を行ったという。

鹿乃つの回が成立した理由(事実と成果)

彼女の回が、他の回と比べて「見応えがある」と評されるのは、以下の要素が揃っていたからだ。

  1. スキルの証明:一晩で見応えのある動画を作成する。
  2. エンタメ性:初手で笑いを取り、番組に「山場」を作る。
  3. 対話力:マフィアと対等に議論(DUEL)を行い、最終的に「ALL REAL(全員合格)」を勝ち取る。
  4. 覚悟:趣旨がブレている番組に出演するというリスクを承知で、自らの物語を完結させる。

彼女が自身のSNSで述べている通り、本来は番組側が設計すべき「面白さの構造」を、出演者である彼女自身が持ち込んだのである。これは、番組の構成力の欠如を、出演者の個人の能力で補った特殊な例と言えるだろう。

今後の「REAL INFLUENCER」に求められるもの

現在の「REAL INFLUENCER」は、志願者が現れなければ成立しないビジネスモデルだ。しかし、出演してもボロクソに言われるだけでメリットが薄い、あるいは番組の趣旨が不明確なままであれば、優秀な志願者は二の足を踏むことになるだろう。

視聴者が求める「リアル」

視聴者がリアリティショーに求めるのは、単なる喧嘩やパワハラまがいの言動ではない。そこにある「成長」や「逆転劇」、あるいは「プロフェッショナルの本質的な視点」である。

VAMBI氏が目指す「インフルエンサーの王道」と、現場で起きている「出演者へのリスペクトの欠如」という乖離をどう埋めるのか。あるいは、鹿乃氏が提案する「企画の再解釈」を番組側がどう受け止めるのかが、今後の番組存続の鍵を握る。

専門用語の解説:ALL REAL

番組の合格基準である**「ALL REAL」**。これは、マフィア全員がその志願者を「本物のインフルエンサー候補」として認めた状態を指す。この言葉が本当の意味で価値を持つためには、選ぶ側のマフィア、そして番組全体が「何を以てREALとするのか」という明確な基準を再定義する必要があるだろう。

インフルエンサー業界は、常に移り変わりが激しい。昨日までの成功法則が、今日には通用しなくなる世界だ。その中で、新しい才能を見出し、世に送り出すという番組の志自体は素晴らしいものである。

しかし、鹿乃つの氏の痛烈な批判が示す通り、その「やり方」が本質から外れていれば、それは単なる「数字のための消費」に終わってしまう。番組「REAL INFLUENCER」が、本当の意味でインフルエンサー界のHEROを生み出す場所になれるのか。その行方に、多くの視聴者が注目している。

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