X(旧Twitter)において、あるコスプレイヤーのポストが大きな議論を呼んでいる。渦中の人物は「鹿乃つの」氏。 発端となったのは、自身のポストについた「コミュニティノート」に対する反応と、そこで語られた「収益化」に関する発言だ。
なぜこれほどまでに批判が集まっているのか。単なる言葉のあやでは済まされない、SNSプラットフォームの規約や著作権意識に関わる根深い問題がそこにはある。 今回はこの件を題材に、Xの仕様や専門用語を解説しながら、何が問題だったのかを紐解いていく。
1. 騒動の概要と「鹿乃つの」氏のプロフィール
まずは、今回の騒動の主役である鹿乃つの氏と、何が起きたのかという事実関係を整理する。
人物・騒動スペック表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人物名 | 鹿乃つの |
| 活動内容 | コスプレイヤー、インフルエンサー |
| 発生時期 | 2026年2月上旬 |
| 問題の核心 | コミュニティノートへの不当な評価誘導疑惑、著作権と収益化の関係性の露呈 |
| 関連ワード | コミュニティノート、収益化、犬笛、版権(著作権)、ダンジョン飯(マルシル) |
何が起きたのか?
事の発端は、鹿乃つの氏が投稿したコスプレ画像(『ダンジョン飯』のマルシルなど)に対し、著作権やガイドラインに関する指摘を含む「コミュニティノート」が付与されたことにある。
これに対し、鹿乃つの氏は自身のサブアカウント等で**「収益化の邪魔だからコミュニティノートに『役に立たない』を押して」**といった趣旨の呼びかけを行ったとされる。これが「プラットフォームの規約違反」および「版権元への敬意不足」として、多くのユーザーから批判を浴びることとなったのだ。
2. 初心者向け用語解説:問題の背景を知る
この問題を深く理解するためには、X特有の機能やネットスラングを知っておく必要がある。ここでは3つの重要キーワードを解説する。
① コミュニティノート
かつては誤情報が拡散されても訂正が難しかったが、現在Xには「コミュニティノート」という機能がある。これは、投稿されたポストに対し、他のユーザーが背景情報や正確な事実を追記できる仕組みだ。 ノートが付くと、そのポストの下に補足情報が表示される。重要なのは、**「ノートが付くと、そのポストは広告収益の対象外になる(または収益が激減する)」**という仕様がある点だ。これは、デマや無断転載で稼ぐことを防ぐための措置である。
② 収益化(インプレッション収益)
現在のXでは、一定の条件を満たした有料会員(X Premium)は、ポストの表示回数(インプレッション)に応じて広告収益分配を受け取ることができる。 つまり、多くの人に見られるポストを投稿することは、そのまま個人の収入に直結する。これを「収益化」と呼ぶ。
③ 犬笛(Dog Whistle)
今回、スクリーンショット内でも指摘されている「犬笛」という言葉。これは政治やネット用語として使われる隠語だ。 「特定の集団にしか伝わらないメッセージを送る」こと、あるいは「直接的な命令形を使わずに、ファンや支持者を特定の行動(攻撃や擁護)へ誘導すること」を指す。 今回の場合、「収益化の邪魔だから」という理由で「役に立たないを押して」と頼む行為が、ファンを使ったシステムへの攻撃(評価操作)のファンネル化、すなわち犬笛だと批判されている。
3. なぜ「収益化への言及」が最悪の一手だったのか
スクリーンショットにある夏マル氏のポストでは、「自ら収益化に言及したのは最悪の一手だった」と指摘されている。なぜ、正直に「稼ぎたい」と言うことがこれほどのリスクを招くのか。
Xの規約違反(評価操作)のリスク
規約で禁じられている行為
Xの利用規約では、プラットフォームの健全性を損なう行為を厳しく禁じている。特にコミュニティノートは「情報の正確性」を担保するための機能だ。 「内容が間違っているから」ではなく、**「自分の金儲けの邪魔だから」**という理由で、ファンに対して「役に立たない」ボタンを押すよう誘導することは、明らかな評価操作にあたる。
ペナルティの可能性
このような誘導行為は、以下のような重いペナルティにつながる可能性がある。
- 収益化の永久停止: アカウント自体は残っても、二度と収益を得られなくなる。
- 青バッジ(認証バッジ)の剥奪: 信頼性の証が失われる。
- アカウント凍結(BAN): 最悪の場合、Xから追放される。
夏マル氏が「犬笛吹くのやめた方が良いぞ」と警告しているのは、これが単なるマナー違反ではなく、アカウントの存続に関わる重大な規約違反だからである。
「趣味」と「商用利用」の境界線の崩壊
もう一つの大きな問題は、著作権(版権)との兼ね合いだ。
版権元のガイドライン
アニメやゲームのキャラクターのコスプレは、基本的に版権元(著作者)が権利を持っている。多くの版権元は、「個人の趣味の範囲(非営利)」であればファン活動として黙認、あるいはガイドライン付きで許可している。 しかし、**「商用利用(営利目的)」**となると話は全く別だ。ライセンス契約やロイヤリティの支払いが必要になるのが一般的である。
「収益化の邪魔」発言の意味
鹿乃つの氏が「コミュニティノートがつくと収益化の邪魔になる」と発言したことは、「私はこのキャラクター(マルシルなど)を使って金銭を稼いでいます」と自白したに等しい。 これにより、これまでは「ファン活動」というグレーゾーンで守られていたコスプレ写真が、明確に「無許可の商用利用」というブラックな領域に足を踏み入れることになってしまったのだ。
4. ネット上の反応と評価まとめ
今回の件について、X上ではどのような意見が出ているのか。事実に基づく冷静な指摘から、感情的な反発まで、主な反応を整理する。
批判的な意見(コンプライアンス視点)
- 「規約違反を公言するのは浅はか」: 評価操作の誘導はプラットフォームのルールを根底から破壊する行為であり、擁護できないという意見。
- 「版権元に迷惑がかかる」: 一人の無茶な行動が原因で、コスプレ界隈全体のルールが厳しくなりかねないという懸念。
- 「盗人猛々しい」: 他人の著作物を使って稼いでおきながら、注意書き(ノート)がつくと「稼ぎが減るから消せ」と言うのは、モラルが欠如しているという厳しい声。
擁護・同情の意見(ファン視点)
- 「ノートの乱用も問題だ」: 一部には、嫌がらせ目的でコミュニティノートを付けようとするアンチも存在するため、本人の苛立ちも理解できるという声。
- 「知らなかっただけでは」: Xの複雑な規約や、収益化と著作権の密接な関係を深く理解していなかっただけかもしれないという擁護。
専門的な分析(引用ポストの視点)
ユーザー(◆床◆無断生成AI規制派…氏)の指摘は非常に鋭い。
鹿乃つの氏、収益化の話を自分で出してしまったから
— ◆床◆無断生成AI規制派 台湾加油 (@hikaruxyuka) February 4, 2026
今後メイン垢でアップロードする場合、
マルシルだけでなく全ての版権のコスプレに
コミュニティノートがつく可能性が。
ノートはファクトチェックだから
内容が間違ってるのであれば申請が通りますよ。…
一度「コスプレ=収益源」と認めてしまった以上、過去の投稿や未来の投稿も含め、すべてが「商用利用」と見なされる。結果として、あらゆる画像の著作権侵害リスクに対してコミュニティノートが付与され続ける「イタチごっこ」の状態に陥る可能性が高い。
5. 私たちがここから学べること
今回の鹿乃つの氏の騒動は、決して他人事ではない。SNSを使って発信活動をするすべての人が心に留めておくべき教訓が含まれている。
インプレッション収益の罠
「見られればお金になる」というシステムは魅力的だが、それが目的化すると判断を誤る。著作権や他者の権利を軽視し、数字(インプレッション)を稼ぐために炎上商法に走ったり、今回のように規約違反スレスレの誘導を行ったりすることは、長期的に見れば自身の信用を切り売りする行為だ。
「事実」と「感情」を切り分ける
コミュニティノートは「事実」を提示する機能だ。もし自分の投稿にノートが付いた場合、それが事実誤認であれば証拠を出して反論すべきであり、感情論や収益の話で対抗しようとしてはならない。 「お金が稼げなくなるから邪魔だ」という理屈は、社会通念上も、プラットフォームの規約上も通用しない。
版権物へのリスペクト
二次創作やコスプレは、あくまで原作者や版権元の許諾、あるいは黙認の上に成り立っている「借り物の砂上の楼閣」である。 そこに「収益」という要素を不用意に持ち込むと、土台そのものが崩れ去る危険性があることを忘れてはならない。
まとめ
鹿乃つの氏が「収益化の邪魔だから」とコミュニティノートの排除をファンに求めた行為は、以下の2点において致命的なミス(最悪の一手)であったと言える。
- Xの規約違反: 評価操作の誘導(犬笛)として、アカウント凍結のリスクを自ら招いた。
- 著作権リスクの顕在化: コスプレ活動が「商用利用」であることを自認し、版権元や他のユーザーからの監視の目を厳しくさせた。
SNSは個人の発信力を高める素晴らしいツールだが、その影響力には責任が伴う。特に収益が絡む場合、そこには「遊び」ではなく「ビジネス」としてのコンプライアンスが求められるようになるのだ。今回の件は、その境界線を踏み越えた際に何が起こるかを示す、典型的な事例として記憶されるだろう。



